限界集落で45年ぶり結婚式【岩手県遠野市】
岩手県遠野市土淵町の米通集落で、23日、45年ぶりの結婚式があった。式を挙げたのは、同市などが取り組む起業家育成事業を通じて集落と縁が出来た若者2人。昔ながらの花嫁行列を再現し、人口21人、平均年齢約71歳の山あいの里は久々のハレの日に沸き上がった。
新郎新婦は、長持ち担ぎやちょうちん持ちの住民、馬と行列を作り、長持唄とともに約25メートルを練り歩いた。
事業のプロジェクトの一つに小規模ビジネス創出による限界集落存続があり、2人は昨夏以降、舞台となる米通を訪問。次第に惹かれ合うようになり、今年1月に入籍した。住民も喜び、総出で準備を進めた。
新郎は「よそ者を受け入れてくれた米通の人たちに恩返しができた」と笑顔。新婦も「みんなに祝福され、心の温かさを感じた」と感謝した。
衣裳はふたりが慕う「ハツばあちゃん」が貸した。黒い留め袖は19歳の嫁入り時に着用。はかまは昨年10月に54歳で亡くなった息子さんが結婚式で使った。
以前、付き合う前の2人の手を強引につながせて「おめさんだづ、一つになれ」と冗談を飛ばした「ハツばあちゃん」。大切な晴れ着をまとった新郎新婦を見て「孫のようにかわいい」と目を細めた。